3.技の結集(1)

屋根は三手先・四手先(軒の唐破風部分)で支え、二軒繁垂木(しげたるき)を配し、こけら葺きで棟に下からは見えないが堅魚木(勝男木)が三本載っている。 身舎は切石の亀腹基檀上に円柱土台建てとし、足固・切目・腰・内法各長押と頭貫を回し、これに向拝柱を加えた材料にそれぞれ異なった地紋彫りが施されている。

縁は四周に跳高欄付きで廻され、向拝木階部は擬宝珠高欄となっている。

縁を支える斗(と)きょうは総て三手先で、一手目は挿肘木(ひじき)を応用しその前面唐獅子の彫刻を施している。 隅木を支える四体の龍は大きく一段と見事であり一体は宝珠を保持している。

屋根を支える斗は三~四手先で、それぞれの肘木に唐獅子・象・龍を飾りその豪華なバランスに目を奪われる。 殊に四隅の隅木を支える獏四体は専門の学者も驚くほど珍しいという。

なお、四隅の斗は手の込んだ鬼斗(おにと)を配し、大斗は向拝柱の上に皿付き大斗が仕組まれている。軒支輪二段は波・雲を彫り彩色されている。

四面を巡らす縁の背後柱に脇障子がくまれている。透かし彫りの見事な、寿老人と福禄寿の作品は一段と見事であり、唐破風の卯(う)の毛(け)通(どお)しの鳳凰とともに、 彫物師棟梁の関口文治郎の作品といわれ彫刻群の多い中でも白眉である。 技の結集(2)へ


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